無人偵察機を運用する米軍の部隊が、7月にも海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)に配備されようとしている。防衛省は「1年程度の一時展開」と説明するが、住民の間には事件事故や常駐化への懸念が広がる。米軍による自衛隊基地の共同使用が拡大する足がかりになる、との見方もある。
「安全保障環境が急速に悪化するなか、情報収集態勢の強化は極めて重要」。今月初め、鹿屋市内5カ所で開かれた住民説明会で、防衛省幹部は繰り返した。
一時展開の目的は、海洋進出を活発化させる中国などの監視の強化だ。防衛省は「南西諸島に近い鹿屋基地は適地」と説明する。7月ごろから米空軍の無人偵察機MQ9を8機配備する計画で、機体操作や整備を担う米兵ら150~200人が市内のホテルに滞在する。
説明会にはのべ217人が出席した。公務員の甲斐涼太郎さん(32)は「地元の理解が得られなくても進めるつもりなのか」と迫った。防衛省は「地元の理解は必要」と強調しつつ、「国の務めとして絶対に取り組まなくてはと確信を持っている」と返した。
配備の期間は1年間。だが、中国の「脅威」が1年で解消するとは考えにくい。説明会では「1年だけと約束できるのか」「別の部隊が駐留することは」といった質問も相次いだ。防衛省は「今回は1年だけと米側に確認した」と何度も答え、常駐化を否定した。
甲斐さんは賛否を決めていない。国防に必要と理解はするが、「説明責任も十分果たさずに押しつけているだけでは」との違和感がぬぐえないという。
鹿児島県内に米軍部隊が駐留するのは戦後の進駐軍を除き初めてで、米兵による事件や事故への対応にも多くの質問が集まった。日米地位協定のもとでは日本の捜査権が制限される場合もあるからだ。
市町内会連絡協議会長の上籠(うえごもり)司さん(71)は「安心安全が脅かされるのでは、と住民は非常に心配している」と話す。基地周辺には学校や保育園も多い。「事件が起きてからじゃ遅い。(米兵に日本の法などを)教育すると通り一遍で言われても不安は解消されない」
説明会に出席した50代女性…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル